MODEL 'PJ-SI-29-A'
モデル・ナンバー "PJ-SI-29-A"
建築家ル・コルビュジエの国立西洋美術館を含む作品群が世界遺産に認定されたのは、ちょっと前の話。その作品群の中に、インド北部の都市、チャンディーガルの官庁街がある。
ル・コルビュジエがチャンディーガルの都市計画の責任者の任についたのは1950年の事。その時に、一番大事な現場の監督を任せたのが、彼の従弟であり、建築家でもあるピエール・ジャンヌレ。ジャンヌレは、そこで建築の設計だけではなく、家具のデザインも多くしている。
俗に良く知られる、ル・コルジュビエの家具は、ジャンヌレとシャルロット・ぺリアンの共同作業の産物だったように、チャンディーガルの家具もそのような側面があったのではないかと思う(ぺリアンは入っていないが)。
不動産である建物は、残されつつも、動産である家具は1990年代に、新しい物に一新され、オリジナルの家具群はオークションでの売却や廃棄処分の憂き目にあい、フランスのディーラーが国に持ち帰ったものが今、再評価され、オークションで高価で売買されている。
材はチークに幅の広い、インドネシアでは見られない違う種類の籐で座面、背中が張られている。現地でローコストで作ることが目的だったためか、構造もかなりシンプルに、技術があまりなくても作れるように工夫されているように感じる。
イージー・アームチェアーとして知られるこの椅子。
コンパスのような脚が、コンパス型とも「V」タイプとも呼ばれ、他の多くの家具と共通する特徴となっている。
良く見ると、木釘が見える。一応、簡単なほぞ組みになっているようだ。
面白いのは、籐張り。普通は座面の向き合う二辺は最低でも同じ数の穴が開いている。そうしないと張っていくときに、パターンが左右対称(もしくは上下対称)にならなくなっていまい格好悪い。
が、この椅子、穴の数が結構違う。
良く見ると穴から、籐が1本の所と2本の所があるのがわかる。それでも全体としてバランスよく見えるのだから、インド人恐るべしと言うしかない。
友人が言っていた、フラワーアレンジメントで、イギリス人は個々ではあんなに大雑把なのに全体を見るとしっくりといき、逆に日本人は細かい所に目が行き過ぎて全体の調和が崩れるてしまうことが多々あるという事を思いだした。
この椅子もやはり後ろ美人か。
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