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2016/12/11

嗚呼、故郷へ

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事の始まりは、2010年、英国南部の港町プリマスで始まる。

その街のオークション・ハウスに出展された一つの漆器の箱。


Auct_32_280


説明書きには、


"Chinese lacquered writing slope with harbour decoration Lakwerker Sasaya 48cm wide"


「中国製漆塗りライティング・スロープ、港の場面の装飾あり、漆業者 笹屋、48cm幅」

予想落札価格は30から50ポンド。

良くある、オークションの一場面。




その漆塗りのライティング・スロープが再び登場するのは、その年暮れのロンドン、ボナム・オークション・ハウス。

今では、かつての世界の4大オークション・ハウスの中で唯一ジャパニーズ・アートのオークションを行っている2つのうちの1つ。

恐らくは、笹屋の銘に気付いたコレクターが購入。

これが、18世紀後半から19世紀にかけて出島を経由して、海外に輸出された日本の漆器と気付いたのでしょうか。

ロンドンのボナムに持ち込まれます。


カタログの説明書きには、しっかりと、


「非常にレアな海外輸出向けの漆塗りライティング・ボックス、笹屋製、18世紀後半」。


アメリカのピーボディ・エセックス博物館に似た物がある事、笹屋の銘を冠した銅板プラークやセクレテールが存在することが付記されます。

これが、3600ポンドプラス25パーセントの手数料で落札。



それが、オランダのディーラ―に買われ、翌年のカタログに掲載。

時代は19世紀の前半に修正され、蓋の港の場面は、オランダで1782年に発行された図版を模しているとのこと。


そして、笹屋の名が入った輸出漆器は4点程しか存在しない事。

その形式としては、

海戦図を描いた銅板プラーク物。


Ngnm6308
一番下に"Verlakt bij Sasaya in Japan"の文字が見える。


もう一つは、

セクレテール。西洋式縦型書箪笥。


Dsc04068



そうすると、このライティング・スロープにも笹屋の銘が入っているとすると、新たな3番目の形式ということになる。






その後、無事長崎の長崎歴史文化博物館に購入されたようで、この箱の長い旅は故郷で終着点を迎える。


目出度し、目出度し。




さて、博物館は購入にいくら払ったのだろう⁇

現在のホームページ上では、この箱の影も形も掲載されていないが、何か新しいことが分かったかしら。





Photo



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