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2017/05/18

箱根細工

Hakone Hand Craft


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今では、箱根細工と言えば寄木細工の事を指すが、その昔は、東海道の宿場町や湯治の場所として多くの往来する人向けに作られた地元で作られた土産物の類を呼んでいた。

1800年頃までは挽き物が中心だったのが、1820年頃になると挽き物だけではなく、彫り物や塗り物、寄木細工などが箱根細工として売られていたそうだ。


小田原から芦ノ湖までの箱根周辺には、本当に多くの寄木細工を売る店やが存在する。

が、どこへ行っても判で押したように、弘化の頃(1844-1847)、畑宿の石川仁兵衛によって寄木細工が創始されたと書いてある。けれども、彼の残した作品や工房のあった場所などははっきりしない。

あくまで、後年の一つの資料によって伝えられていることに過ぎないと思うのだが、、。



ただ、そのころの寄木細工は、今の物と違い乱寄木である。


出島のオランダ商館に医師として来ていたシーボルトが収集した(購入した)コレクションの中に残る手提重には乱寄木に、色々な文様がワンポイントでちりばめられている。(ちなみに購入したのは1820年代である。)

欅に桑、黒柿の3種類をメインとした乱寄木に拭きうるし、物によっては、ちょっと弁柄が混ざっているようなやや赤みがかかったものが使われている。



残念なことに、その初期の頃の寄木細工が、どこにも見ることが出来ない。


箱根で唯一見られるのが、湯本にある本間寄木美術館


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唯一無二と言っていい存在。

個人の収集ではあるが、面白いものを見ることが出来る。

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ただ、作品の解説等はあまりなく、何も知らなければ、さあーっと通り過ぎてしまうだろう。

それは、創始の地である畑宿行っても同じで、寄木の事について何となく展示してあるのは、畑宿寄木会館ぐらい。


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上の鉋をひっくり返したお化けもそうだが、解説無しでは理解するのが難しい。

今は、見るからにPVC系の強いボンドを使っているせいで手鉋でさっと種板と呼ばれる塊かヅクと呼ばれる模様の薄板が削れるが、まだ膠が使われている頃は、恐らくやや厚めに削る為、大きな鉋をひっくり返した状態で固定し、その上を種板をてこを使って滑らせてヅクを削り取るという、2人掛かりの大作業が行われていたようだ。

ただし、この機会がいつ頃まで、続けられていたのか知ることは出来ない。


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2020年のオリンピックに向け様々な観光事業が進んでいる中、日本の伝統工芸についてもっと海外の人に知ってほしいと思うのだが。

特に寄木細工、昔からパズル・ボックスと呼ばれる秘密箱はお土産の筆頭。このイギリスにも多くが存在する。必ず、骨董市に行けば、一つや二つは目にする一品。間違いなく、興味がある人は、あるに違いない。

寄木細工のコレクターで有名な金子皓彦氏のコレクションの常設展示や英文を含めた図録なんかが有れば、個人的にはいいなあと思ってしまうのだが、、、。


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