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2018/04/01

国宝? つづき

ナショナル・トレジャー? つづき


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国宝と言えば、 この間こんな本を読んだ。


「家康公の時計 四百年を越えた奇跡」 落合偉洲著


著者の落合氏は、現役の宮司さん。

その務める所が、久能山東照宮



実は、私も詳しく知らなかったのだが、晩年を、今の静岡市内にあたる駿府で過ごしたあの徳川家康公が、死んだ後に、その地に埋葬するようにという遺言によって、建てられた神社。

しかし、それと同様に家康は、日光にも自分を祭るように、神社を建てさせる。それが、修学旅行先で有名なほうの東照宮、日光東照宮である。


久能山のほうが先に出来、そこにまず埋葬されたのは間違いない。

その一年後、日光の東照宮が出来たときに、あまり聞いたことのない言葉だが、そちらへ改葬されたそうだ。

そういう意味では、今現在、家康公の遺体はどちらに眠っているのかは、厳密にはわからない。

ただ、この著者でもある、宮司の落合氏は、家康公はこの久能山に眠っていると思うと話す。


その家康公の、遺品が多く残るこの久能山東照宮。


この本の、主人公の時計も、ここに残る遺品の一つである。


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この時計を、ぜひ国宝に指定してもらうという一大プロジェクトを綴ったのがこの本。

そういう意味では、アカデミックな読み物というよりは、ドキュメンタリー的なルポタージュという感じでしょうか。


落合氏が、宮司としてこの神社に赴任(と呼ぶ?)して知ったこのお宝。

16世紀末の戦国時代。南蛮人と呼ばれるスペイン人、ポルトガル人との初めてのコンタクトがあった頃の話。

一番象徴的な、種子島への鉄砲伝来として、日本史の授業で聞いたことがあるはずです。

その後、その二国だけでなく、イギリスやオランダも参入してきます。

そんな時に千葉県沖で座礁したスペイン船の船員を救助した、お礼にスペイン国王フェリペ三世からのお礼として贈られたものの一つがこの時計です。


例えば、オークションなどでは、ここまで由来がはっきりしているものは、さらなる付加価値が加算されることは間違いなく、その由来一つで倍ぐらいの値段がついたりするのです。

さらに、その時計製作者、ハンス・デ・エバロ、がフェリペ三世のお抱えの王室御用達の時計師ならばなおさら。


彼の時計は、現存しているものもほとんどなく、スペインでは、もちろん国宝扱い。


そこで、この時計も国宝へというプロジェクトが生まれ、イギリスの大英博物館の専門家に調査してもらい、そのうえで、報告書を作り、文化庁に申請します。


残念ながら、この本が出版された時点では、この時計は国宝には指定されていません。(家康公の遺品は、まとめて重要文化財には指定されています。)



ただ、その後の調査から、この時計は王室御用達のハンス・デ・エバロの作った時計ではなく、ニクラス・デ・トロエステンベルグという時計師が作ったことが判明。

一般的に、アンティークと言われる時計。アンティークで古いから動かないじゃ価値がありません。時計だから、動いてなんぼなのです。ですから、現存している時計は、ほぼ100%もともとのオリジナルだけの部品だけでは作られていません。

中の部品、金属製とはいえ、もちろん摩耗します。そのたびに動く様に、新しい部品を作り直すのです。これが時計の世界での修復。

そういう意味では、ほぼ99%のオリジナルの部品が残る400年前の家康公の時計は、学術的にはかなり価値があるものです。が、それが経済的な価値に直結するかというとそうでもない。


私個人としては、ハンス・デ・エバロ製ではないと分かった時点、400年前のフランダース地方製の機会時計だけでは、市場での価値はかなり落ちるはずだし、歴史的価値としては、家康公の遺品として重要文化財になっているので、国宝とするには弱いのではないかという気がしますが、どうでしょう?



★下の写真は、文字盤をX線カメラで撮り、解析したもの。



 


しかし、新たな疑問。

誰が偽造、新たな銘を施したのだろう。

この贈り物が、1611年、スペイン人の探検家、ビスカイノが日本にもたらしたことは間違いない。それは、日本側の記録に明記されている。

スペイン側の記録はないのだろうか??

本当に、その時計を、スペイン王が彼に託したのだろうか?


まだまだ、物語は続きそうである、、、、、。


そういう意味では、続編を期待してしまう。

もッとアカデミックなものになってしまうだろうが。








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