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2018/12/06

青貝細工裁縫小机

Export Lacquer Sawing Table

女性向けに作られた家具というものが、意外に多く存在する。
18世紀の、女性的なデザインのロココの時代を経て、世紀末のトーマス・シェラトンの時代には、明るいサテンウッドを使った繊細な、女性用のドレッシング・テーブルや小机が多く産み出された。

19世紀にはいると、それがもっと顕著になり、余暇の楽しみ方の一つ裁縫専用の小箱や小机が様々なデザインで作られるようになる。

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ただしそれは、英国本国の話。

東に遠く離れた日本は、まだ貿易を制限している時代。

オランダ船、清の船のみが長崎で取引をすることが許されていた。

18世紀の末頃から、作られていた西洋向けの青貝細工の漆器達。初期の頃は、銅板に蒔絵を施した蒔絵プラークが有名だが、少し後になると、小さな家具類も、多く作られるようになる。

この青貝細工の裁縫小机も、その一つだろう。

開国前の1840年代に作られたのではないかと思う。

箱を含む小家具類は、持ち込まれた現物を参考に見様見真似で作ったもの。初期のものほど、忠実にコピーされている。

この小机の、原形は、イギリス人が清で作らせた裁縫箱のようだ。

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脚の部分こそ違うが、箱の形はほぼ一緒。

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下の引き出し部分には、縫いかけの物なんかを収容できる。

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天板の部分には、着物を着た女性が二人。

芸者さん?

まさしく輸出用のデザイン。

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満開の桜、牡丹に、あやめ。

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鍵穴を差し込むエスカッチョンと呼ばれる金具は銅製。鍍銀が施されている。

従来、釘から錺金具まで銅を使うのが、日本の物だったが、強度的な問題を悟ったのか、蝶番には真鍮が使われている。

ネジの使用は、まだ見当たらない。

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ストップ・ヒンジと呼ばれる90度ぐらいに開いたところで止まる蝶番。造りがもともと悪いので、蓋を支えきれず壊れてしまっている。

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脚の形状は、西洋の物にはあまり比するものがない。しいて言えば、フランスのrルイ15世時代のトリコトゥーズ(Tricoteuse)と呼ばれる編み物用の小机の脚が一番似ている。

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何を参考にしたのか推測するのは、あくまで難しいが、図版や、プリントだけではないことは確かである。

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銀箔(錫箔)が裏に施されている青貝細工は目にも鮮やかである。

以前の横からの光(日本人の家屋)対応使用の青貝細工から、上からの光(ヨーロッパ人の家屋)対応の色を施した青貝細工に移行しているのがわかる。


 




 



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