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2019/03/16

Black Japanned Longcase Clock

疑似蝋色漆塗りホール時計

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英語で書くと、しっくり行く感じだが、日本語に訳してみるとなんだがよくわからなくなる。日本にあまり存在しないものだと、上手く表現が出来ない。「大きな古時計」の唄のおかげでイメージは沸くと思うが。よく使われる、グランドファーザー・クロック(おじいちゃんの時計)は米語の為、あまり英国では使われない。


ロングケース・クロックと呼ばれる時計は、小ぶりなものが出る前の形。胴の部分の扉を開けると、中は空っぽ。時計のメカニズムは一番上の文字盤の後ろ部分。錘の重さで動かしているので、その下がっていく距離を稼ぐために長い胴をしている。でも、そのおかげで7日間動き続ける。理論的にはもっと高い所に置けば、もっと長く稼働するのだろうけど、あまり現実的ではなく、週に一回ゼンマイを巻いてあげれば良いという事で落ち着いている。17世紀の話。


全長が2m40㎝を超えるので、さすがに上に吹き抜けている玄関ホールに置かれていることが多い。そういう訳で、ホール時計と呼んでも差し支えないと思う。


17世紀から18世紀を通して作られるのだが、その時その時の流行を反映していて面白い。


このロングケース・クロック、ジャパニングと呼ばれる疑似漆塗りの仕上げである。この疑似漆の技法、ヨーロッパ中で見ることが出来る。シルクロードを通して、アジアとの貿易をしていたベネチアが漆器に触れた最初。そこから、海路によるルートの確立で他の国々でも多く行われたようだ。


英国では、1600年の東インド会社の設立以降、定期的にアジアの漆器が本国にもたらされるようになる。輝く漆器の存在は、かなりヨーロッパに衝撃を与えたようだ。故に、誰もが欲しがる一品となり、生漆を現地から持ってこれない事が判ると、多くの疑似漆職人が生まれた。一番有名なジャパニングの指南書であるストーカーとパーカーによる本が出たのが1688年。この本が、ジャパニングと言う言葉を使った最初の本と言われる。(ただし、一般には浸透していたかは疑わしく、家の資産目録などではインディアン・ワークなどと呼ばれることが多い)


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その頃には、ジャパニングは一つの産業になったと考えてよい。その需要に合わせるように、東インド会社も、デザインやモデル、はては職人までをも現地に送り、かの地(主に広東周辺)での制作に力を入れ、多くの物を輸入してくるようになる。


面白いのは、アジアからの輸入が多くなってくると、組合が一致団結し、政府に対して嘆願書を出していること。現存しているこの嘆願書、1710年頃の物とされる。


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ジャパニングの構図をよく見ていくと、モチーフこそ、中国風やインド風だが構図は左右非対称の日本的な構図が多い。上の嘆願書にもあるように、東インドからのと書かれているように、一般人にとってのアジアは、インドより東は皆一緒。度もその中で、あえて日本の物を引っ張り出して、ジャパニングと付けるあたりは、その品質の高さが伺える。


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そこここに、日本の輸出漆器に使われたデザイン・モチーフが見える。


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上は、ジャパニングのビューロー・キャビネット。

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こちらは、中国の漆塗りの太鼓。

ジャパニング、疑似漆塗りと言えども、良く出来てるのである。特に、清の頃の漆器のデザインは余白をまんべんなく埋めるタイプが多いので猶更ではなかったのではなかろうか。それに比べ、余白の多い日本のデザインはその分、磨きがさらに必要とされ、光沢度が高かった故に、インパクトも高く、疑似漆がジャパニングと呼ばれるようになったのは、そういう理由ではなかろうか想像するが、どうだろう。



ちなみに、ロングケース・クロックは18世紀前半の物。

 





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