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2019/03/31

マホガニー・ラダーバック・チェア

Mahogany Ladder-back Chair

 

ラダーバックの椅子と聞くと、普通はウインザー・チェアの一タイプを思い浮かべる。

18世紀初頭から、ランカスターを中心とするイギリス北部で作られ始めたもの。背中のデザインが梯子に似ていることからそう呼ばれる。楡やトネリコなどの地元産の木を使い、ラッシュ(Rush)と呼ばれるイグサを編んだ座面が特徴。

 

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ラダーバックの横木の部分はいろいろなデザインがあって、それによって生産地が特定出来たりする。

 

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このジャマイカや、キューバ産の質の良いマホガニーで作られた、ラダーバック・チェア。ウインザー・チェアのそれの感じに比べると、かなり洗練されたものになっている。

 

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ほぼ同じ背中のデザインを持つ椅子。ただしウォルナット製、カブリオレ脚。まだ、クイーン・アン、ジョージ1世の流れを汲んでいる。1739年に、ロンドンの家具作家に製作され、イギリス西部のデボンに納品されている。

面白いのは、ラダーバックが、遠くランカスターから離れたロンドンで製作されている事。しかし、よく見ると、この背ずり、笠木の端が、斜め継ぎになっているように見える。

 

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ロンドンのジェフリー博物館に所蔵されている一脚の椅子。

背中のデザインは一緒、ドロップ・インのラッシュ・シート。まさに、あのウインザー・チェアをタウン仕様にリ・デザインしたように見える。この椅子もウォルナット製。

さらに、良い事に、この椅子の座枠の内側に家具作家の物と思われる紙のラベルが残っていた。ただし、半分。肝心な家具作家の名前がない、、、、。

 

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18世紀に、この手のラベルを製作した家具に残していた家具作家は多くない。ラッキーな事に、この家具作家が他の家具にもラベルを貼っていた。

 

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18世紀前半、チッペンデール以前には、ジャパニングの家具で名を知られていた家具作家ジャイルズ・グレンディ。このラベルも、赤いジャパニングが施された、椅子に貼られていたもの。

 

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本当に、良いマホガニーが使われている。一枚板から、背中の材が取られているのが判る。

 

Dsc07030

 

 

こう考えると、マホガニー製のラダーバックもグレンディ製か?

座面を剥がしてみたが、座枠はブナ製、ラッシュ・シートから改変されたように見えない。

 

グレンディは息の長い家具作家である。

1720年代から、60年代まで活躍している。クイーン・アンの時代は丁稚、それからジョージ1世から3世までの時代の移り変わりを見てきている。ウォルナットの時代からマホガニーの時代への移行。シノワズリ―と呼ばれる中国風のデザインや紅茶の流行。時代の変化と共に、デザインも変わっていったに違いない。特にロンドンで活動する作家は猶更である。

 

グレンディの製作した椅子とは断定できないが、18世紀中頃、ロンドンで作られたものと言うのは断言できそうだ。

 

良い椅子である。

 

 

 

 

 

 

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