螺鈿銅製煙草箱
Japanese Export Lacquer Tabacco Box
元々、南米で普及していた煙草が、15世紀末のコロンバスのヨーロッパ人の南米大陸発見と共に、ヨーロッパにもたらされた。薬的な物として普及し始めた煙草だが、最終的には嗜好品として、17世紀中頃には世界中にへと広まる。
18世紀には、喫煙方法として、パイプに詰める方法と、煙草をダイレクトに鼻から吸う嗅ぐ方法の2種類が最も一般的だったようで、パイプ用の煙草入れをタバコ・ボックスもしくはティン、嗅ぎ煙草用をスナフ・ボックスと英語では番う言葉が使われる。大概スナフ・ボックスは手に収まるほどの小さな物。タバコ・ボックスはもう少し大きめの物である。
18世紀末の、出島経由の輸出漆器。19世紀前半頃の物だろうか。
一応銅製と書いてはいるが、後ろの蝶番の部分は真鍮が使われているようである。
上は、オランダ、もしくはドイツ製の煙草箱。
18世紀から19世紀にかけての物。
真鍮と銅の複合の蓋つきの小箱たち。
右上のような一品を、バタビア(今のジャカルタ)から派遣されて来たオランダ東インド会社の社員あたりが持ち込んだのだろうか。それを原型に、お土産用螺鈿漆塗り煙草箱を作ったに違いない。
蝋色仕上げは、共通であるが色々なデザインの装飾の物が見られる。
上は、蒔絵の物、下は螺鈿、日本の海辺の風景。
出島をデザインした物、フリーメイソン関連の物もあり、様々な注文がなされたことが想像出来る。
上の2つは、生前時のマイケル・ディーンさんのコレクション・カタログより抜粋。
牡丹、テンナンショウ(多分)に梅のバックグラウンド。
緑や赤は、薄貝の裏側から色が施されている。
周りの縁にも、梅が施されている。
蝶番部が金色に見えるのは真鍮製の故。
構図的には、西洋人の好みの左右対称的なデザイン。
やはりお土産か。
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