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2019/07/14

オランダ製ダイニング・チェア

Dutch Marquetry Dining Chair

 

オランダ製の家具と聞いて、どんなものを想像するだろうか?

 

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あの17世紀に描かれたフェルメールの絵の中の椅子や机。

 

オランダ東インド会社が、インド洋沿岸を闊歩していた頃の、東南アジア特産の黒檀を使った家具群。

 

Image20160524252361jukm87

 

はたまた、19世紀にゴッホが描いた物。まあ、これは、フランスで描いているから、オランダ家具ではなく、フランスの家具か。

 

オランダの家具でサーチをしてみると、かなり大型のキャビネットか、マルケトリーの家具が出て来る。

 

元々、今のドイツ圏で始まったマルケトリーという技法。色の違う木の薄板を切り抜き、ジグソーパズルのように組み合わせる。そのピースをカットする為の、糸鋸の刃を作れる鉄の産地が故に、その地方で始めることが出来た。アイデア自体はイタリア圏の物だったが。

 

かなり粗い歯であったにもかかわらず、かなり精巧なマルケトリー細工がドイツ圏やイタリア圏に残されている。敢えて、ドイツ圏、イタリア圏と使っているのは、その頃には、ドイツと言う国、イタリアと言う国はまだ影も形も存在してないが故。

 

かと言うオランダも、その頃にはまだない。17世紀中頃にスペインから独立して初めて、今のオランダの原型が生まれている。

 

その頃に流行ったのが、英語でシーウィード・マルケトリーと呼ばれるやや抽象的なデザインの物。直訳すれば海藻のマルケトリー。スペインに残されていたムーア人の遺産の名残のアラベスク模様から来たのではないかと思うのだが。

 

P1730286_z

 

それが、オレンジ公ウィレム3世が、イギリスへ渡り、ウイリアム3世として即位した際に、イギリスにも渡り一世を風靡することになる。

 

しかし、わからないのが、一般にダッチ・マルケトリーと呼ばれるのは、その繊細なものではなく、草木を雑に描いたどんくさいものである。

 

Dsc07371

 

このダイニング・チェア―、デザイン的には19世紀初頭頃の物。

それに、そのどんくさいデザインが施されている。

 

Dsc07375

 

もうそれが、伝統的に決まった定型パターンであるかのように。郷愁的な懐かしさを思い起こさせるのか。リバイバル様に始まったこのマルケトリー・パターンは、19世紀にわたって、長くオランダ家具の装飾の定番になっていく。

 

そもそも、この椅子は人為的な損傷の為か、背ズリの部分が左右ともばっきり折れた状態でやってきた。

 

元来の接合部分はしっかりしている為、その壊れた部分を一気に組み上げ固定する。

 

Dsc07361

 

Dsc07359

 

どっちの方向から、どのように力をかけたらいいのか、まるでパズルのよう。Gクランプに、サッシュ・クランプ。表面を気付付けないように当て木をし、ピタッと面を出したいときはアクリル板を使う。局面には、シリコンのブロックで対応。実はこの時間が一番面白かったりする。

セットのうちの一脚だと、塗装でもあまりごまかせないので、一発勝負で仕上げたい。

 

Dsc07382

 

裏を見ると、オーク材の部材の上に、マホガニーのべニアが張っているのが判る。

 

 

 

 

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