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2019/07/31

蔵春亭三保造

Zousyun-Tei Sanpo-zou

 

Dsc07484

 

江戸末期の長崎、出島からの輸出漆器。

 

黒漆に螺鈿細工、伏彩色に裏からの銀(錫)張り。

18世紀の末から現れる一連の輸出漆器群。京都で作られ始め、次第に長崎でもと言うのが定説だが、輸出向けに作られただけあり、時代を特定する基準となる作品が著しく少ない。

 

この小箱開けてみると、、、、、

 

Dsc07594

 

2つの、化粧瓶のような酒瓶のようなものが入っている。オリジナルの西洋の形の物を考えると、恐らくはティー・キャディと呼ばれる、紅茶を入れておく箱からのインスパイアに、日本のアイデアを加えたものと思われる。

 

Dsc07597

 

瓶の蓋には、「蔵春亭三保造」の銘が。

 

九州陶磁文化館のHPによると、1841年(天保12年)に有田の豪商、久富与次兵衛が、佐賀鍋島藩藩主の鍋島直正から与えられた屋号「蔵春亭」をブランド名に、欧米好みの製品を開発し、長崎に支店を置いて海外輸出に乗り出したとある。しかし、1856年(安政3年)に、財政難により、その権利を有田の商人、田代紋左衛門に売り渡しているので、「蔵春亭」の銘は、1841年から1856年にしか使われていないようだ。

 

Dsc07507

 

仮に、この磁器がオリジナルであれば、その漆器がいつ作られたかある程度の目安になる。

 

他にも、瓶が1つの棗のような形の物や、2つ入り可動式バージョンや3つ入りなんてのが存在する。

 

001

 

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Img_5

 

この螺鈿箱が、長崎で作られていた。それが故に、そこに支店があった佐賀の「蔵春亭」が発注を受けたというのは、理にかなっているように聞こえるが、実は長崎にも磁器の窯元があったりする。

 

Bottlebox2a

 

Markhirado

 

上の3つ入りバージョン。瓶の蓋の上には「平戸製三河内」の銘が。

 

絵柄のパターンも、同じようにしか見えない。一般的に、出回っているのは「蔵春亭」バージョンなので、「蔵春亭」が作り始める前か後に少しだけ生産されたものではないだろうか。

 

まだまだ、調べてみる余地はありそうだ。

 

 

 

 

 

 

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