銀のピクチャ・フレーム
Silevr Picture Frame
銀の写真立て。
とはいっても、銀のフレームに嵌め込まれているのは、鼈甲もどき。
良くは出来ているが、本物の鼈甲ではない。
確か、ワシントン条約で取引が禁止されているはずだから、本物だったら売買が出来ない。
何で出来ているかと言うと、いわゆるプラスティック。
今話題の素材である。
そもそも、プラスティックと言う言葉は、元々はギリシア語の「形作る」という言葉「プラスティコス」から来ているそうだ。
一般的には、可塑性があるもの、つまり成形が出来て、その後もその形が保たれるという特性を持つもの全般に使われる。
19世紀の中ごろに産み出されたセルロイドが一番最初の人工的なプラスティックと呼ばれている。
植物からとれるセルロースと硝酸から出来るニトロセルロースに樟脳を混ぜることによって出来るセルロイド。
20世紀中頃まで、食器やメガネのフレーム、おもちゃなどに多く使われたが、耐久性や発火性の問題により次第に他のプラスティックにとってかわられた経緯がある。
燃やしてみれば、判るが、ドリルで穴をあけたりするとわずかな樟脳の匂いがする。
そのセルロイド製の鼈甲に銀が象嵌されている。
問題は、セルロイドが経年変化により縮んだことにより、銀の象嵌が溝にフィットしないことだろうか。
プラスティックと言うと、安物のイメージがあるが、初期の頃は安い物ではない。
確かに、本物の鼈甲で作ってあったほうが高いが、それでもその代替え品を使ったものでも高級品。
あのマッキントッシュも、初期のプラスティックに興味があったらしく、自分のデザインした家具や置時計の中で最新の素材として使っている。
IMAGE FROM VICTORIA AND ALBART MUSEUM, LONDON
ちなみに、上のキャビネットの黄色い部分がプラスティック。
エリノイドと言う素材だそうだ。
裏も手が込んでいて、真鍮で作った蝶番などの錺り金具は銀張りされている。
フレームの下側には、純銀を証明するライオン・マークに、錨のマークはバーミンガム製を表している。
製作年を表す小文字の「k」は1909年製。
メーカーズ・マークはヘンリーズ・ウイリアムソン社。
元々はロンドンの会社であったようだ。
110歳の写真立て。
飾られるのはどんな写真か??
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