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2019/10/27

West Country Windsor Chair

ウエスト・カントリー・ウインザー・チェア

 

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ウエスト・カントリーと呼ばれる地域がある。

 

英国のあるグレート・ブリテン島の一番下の左端、細長く突き出た部分がそう呼ばれる。今では、主にコーンウォール、デヴォン、ドーセット、サマーセットの4州からなる。

 

ローマ人がこの島を闊歩していた頃に作られたローマ道が基礎となり、交通網が作られた故に、そこから外れた地域は、時として独自の意匠やアイデアを育むことが多い。ウインザー・チェアを例にとれば、現在のノーフォーク、サフォークのイースト・アングリアと呼ばれる地方のメンデルシャム・チェアなどがそうである。

 

このウインザー・チェア、一目でウインザー・チェアの形をしている。

 

恐らく、オイル系のヴァーニッシュを塗られたせいで、経年変化により黒ずんだ色に見える。しかし、細かい所を見ていくと、その下に、青、もしくは緑の塗装が施されているのが判る。

 

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この地域では、青、緑、赤が一般的だそう。

 

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前脚も、この地方特有のリール・アンド・ボールの挽き物。

 

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一枚物の楡の座面の裏側に作られた時の工具を使った跡が見える。

 

背ずりであるスピンドルが上側のフープに差し込まれ、その接合をしっかりしたものにするために、木のダボを打ち込むのもこの地方の特色。

 

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下から来たスピンドルの先がフープの下側の穴に入り、そのフープの後ろ側に、押しボタンのようなダボの頭が見えるだろうか。

 

ここまでは、他の地方と被るものもあるのだが、このアーム部の構造に関してはまさしく、ウエスト・カントリー・チェアと呼ばれるもの。ただし、他のウインザー・チェアの構造に比べると、強度的に弱い‼

 

それ故に、このタイプは、後付けの金属の補強がされているのが多い。

 

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この3パート・アームと呼ばれるものがウエスト・カントリーの物。(上図のB)

 

チルタンと呼ばれるロンドン周りでは、Aのタイプ。強度的にも強い。

 

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前から、見ても判り辛い。ただ、重ねてないので前から見たときすっきりしている。

 

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下側から見ると、3つのパートで構成されているのが判るだろうか。

 

ちょうど背ずり真ん中の部分、右側のアームの方へ続く部分。そして、その真ん中の三角の部分。

 

作られ始めた18世紀終わりから、19世紀初めにかけて試行錯誤したに違いない。重ねて、どんくさいデザインにするより、強度が少し落ちるがすっきりした洗練されたデザインにしたかった。家具職人のこだわりだろうか。

 

しかし、やはり使用勝手が悪かったのか、19世紀中ごろからは、この構造は消えていく。

 

逆に、今となってはそれが目安になり、この椅子は19世紀前半の物と自信を持って言うことが出来たりする。因果な物である。

 

ただ、こういう美しい形の物は最近めっきり見かけない。

 

やはり構造上の欠陥が仇となったのか?

 

 

 

ちなみに、使用木材は恐らく、トネリコ材に楡材。

 

 

 

 

 

 

 

 

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