Goa Work Box
ポルトガル領ゴア製の作業箱
小ぶりな箱。
かなり特徴のあるパーケトリーのデザイン。イスラム教由来のアラ
ベスク文様を彷彿とさせる。チークの材に黒檀、そこに象牙もしく
は骨で象嵌が施されている。
上から見ると、少し重ねた円のデザインが良く分かる。
これが作られたのはゴア。16世紀半ばから、ポルトガル人のアジア
貿易の拠点になった都市。もともとは、イスラム国家ピジャブール
王国の重要都市だった。ゴアを奪われた後、ピジャブール王国は何
度かかの地奪回の為に兵を送るが、ことごとくポルトガル人に退け
られた。
鍵穴周りの金具、エスカッチョン。やはりインドだけあって真鍮製。
糸鋸を使った繊細なデザイン。植物をモチーフにしたものだろうか。
裁縫箱だろうか。下は引き出し。上の蓋を開けると、いくつかのコン
パートメントが見える。蓋裏にも装飾が。手の込んだデザイン。
左上の、鍵の付いたところには貴重な物でも仕舞っていたのだろ
うか。錠や蝶番などの金具などはかなり雑。これは真鍮ではなく、
鉄合金製。
この、インド、スリランカで作られた俗に言う植民地家具。かな
り地方色がはっきりしていて興味深い。材も、黒檀やローズウッ
ド、チーク。あの甘い芳香の白檀も良く使われている。そこに、
象牙(もしくは骨)。そこに、飾り金具は銀色で彩られる。ここで、
作られた物は、江戸後期、明治期に洋家具を作り始めた日本の職
人のデザインに大きく影響していて面白い研究課題でもある。
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