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2020/08/09

Japanese Export Lacquer Centre Table

日本製輸出向け漆塗りセンター・テーブル

 

ここ何年か、18世紀以降の日本で作られた西洋の形を持つ輸出漆器

が、初出の物も含め、多く散見される。丁度、コレクターの代替わ

りにあたるのだろうか。

 

この江戸後期の和と西洋の融合された形に、その当時の職人達の

デザインに対する変化が見て取れて、とても面白い。従順に真似

をしていた最初の頃から、次第に日本独自のアイデアが加味され

ていく。明治期には、それが他の工芸品と共に、多く輸出される

こととなる。

 

来週末(8月15日)のオークションに出展されるテーブル。

 

Table11

 

円のセンター・テーブル。

蝋色漆に、金蒔絵と青貝細工。

何故か、脚にはワニ、もしくは怪獣の爪。

 

Table12

 

伏彩色の青貝細工。番いの孔雀。折り枝模様。

 

この時期の輸出漆器で家具のような大型の物はあまり残っていない

感じがする。このテーブルの形、インペイ、ヨルグ氏の共著

「Japanese Export Lacquer」を見ても二例しか存在しない。

 

Dsc09022

 

両方とも、オランダのヘット・ロー宮殿博物館に所蔵されるもの。

脚先が3つの物、4つの物があるのだが、上の3つの物は1849年の

書類に記載されており、1840年代に宮殿に来た事が判る。

もう一つの4つ脚先も1852年の宮殿の調度品リストに記載されて

いる。

 

若干、真ん中のコラムのデザインが違うが天板、脚とも一番上の

テーブルに酷似する。

 

どうも、いくつかのデザイン違いが確認されているこのタイプの

センター・テーブル。昔のアーカイブを追っていくと似ている

テーブルに辿り着いた。

 

Anexceptional

 

5年ほど前にロンドンのアンティーク・ディーラーが持っていたも

の。現物を確認はしていないので、100%とは言えないが、恐ら

くは同一の物。

 

このディーラーの説明書きによると、ドイツのマリエンブルク城所

蔵だったもので、2005年にサザビーズでオークションにかけられた。

マリエンブルク城はドイツ・ハノーファー王家の最後の国王ゲオル

ク五世が、1857年の王妃の誕生日にプレゼントしたもの。そこの、

調度品リストにあったとすれば、1850年代前半に製作された可能性

が高い。

 

1840年代から50年代にかけて、恐らく同じ工房が手掛けたテーブル

群という事になる。

 

面白いのは、今回のオークション・ハウスのカタログには、中国製と

記載されている事。ディーラーから買った当人はな亡くなり、この奇抜

なデザインのテーブルをオークションに持ち込んだ何も知らない親族。

それ故に、中国製にされてしまったか。

 

日本の博物館には例がないこの形。

 

是非、日本に里帰りして欲しいなあと切に願う。

(もしくは、自腹を切るかだが、、、、。)

 

 

 

 

 

 

 

 

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