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2021/01/17

Six Plank Chest

6枚板のチェスト

 

Dsc09174

 

チェスト、またはコファーと呼ばれるこの形は、古代エジプト時代から続く

家具の形である。

 

特にこのチェストは、前後の板、2枚の側板、底板に天板の6枚の板を組み合わ

せ釘を打っただけのシンプルな構造。そもそも、丸太から平板に製材するのが

難儀だった時代。古くは15世紀辺りから作られたものが現存する。

 

勿論シンプルが故に、かなりのちの時代まで作られ続ける。ただ、無垢板を贅

沢に使った造りに、板の反りや割れなどの要因から19世紀ぐらいには非効率と

してあまり見られない。機械が発達して、板の収縮に対応したパネル組みの構

造が廉価出来るようになったことなどが要因なのか。

 

古い物の方が造りが粗いと思っている人は多い。プリミティブと言う言い方が

使われることが多いが、そもそも、造りの悪いものが長い間、使われ続けるこ

とは、歴史上あまり見られない。イケアの家具が100年後に使われ続けている

とは思えないように。

 

Dsc09177

 

錠は、軟鉄製。

変わった形の鍵穴が見える。カット釘と呼ばれる釘で4隅が固定されている。

この手の釘は曲者で、かなり柔い。下穴無しで打ち込んでいくと、節などのか

たい部分は見事に避けて曲がりながら打ち込まれていく。日本の建築物などで

使われるものとほぼ同じである。

 

Dsc09176

 

材は楡材。薄い黄色い木である。酸化すると、オークのように黒くはならず、

美味しそうな蜂蜜色に変色していく。端の側板に釘が打ち込まれているライン

にそれを目立たなくさせるように簡単なチップ・カービングが施されている。

 

Dsc09179

 

中は当然ながら無塗装。板の反りのせいか、底板と前板の間にかなり大きな

隙間が見える。暖房の効きすぎた現代の家では、さらに多くの縮みや反りが

起こるに違いない。

 

Dsc09181

 

虫食いや摩耗のせいか、かなり側板の脚がすり減っている。当然板の厚みも、

均一ではない。天板の端にも同じカービングが見える。

 

Dsc09184_20210117111201

 

裏板には製材時の鋸、ピット・ソーの跡が残されている。こちらも、無塗装で

本来の木の色が判る。

 

アンティーク市場にも、よく出て来る一品であるが、なんせ造りが粗い為、後

年に手が入っていることが多い。ワックスのみで仕上げているものが多いので

剥離剤をかけると一発で古艶がなくなってしまったりする。その中でも、時々

良い感じの物に出会ったりすると、思わず購入してしまいたくなるが、大概の

サイズがオーバーサイズなのが玉に瑕ではある。

 

 

 

 

 

 

 

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