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2021/03/28

大丸飯臺修復プロジェクト その2

Project ' Large Round-top Dining Table' #02

 

H19555l235513073_original_20210328124201

 

 

さて、その1の続きになるが、そのヘット・ロー宮殿にある大飯臺の天板。周りに

は、蒔絵で松葉をモチーフにした環状のデザインが天板外側に施されている。直に

見たことはないので、100%ではないが、他のテーブルでも使われている。

 

Dsc09078_20210328125401

 

このテーブルは、以前イギリスのディーラーが持っていたものだが、昨年ヨーク

シャーのオークションで落札されたもの。

 

Table11_20210328130201

Table-top

 

 

外側は同じでも、内側は、風景画ではなく、花鳥画が採用されている。庭の孔雀に

牡丹。どうも系統としては、ヘット・ロー宮殿の普通テーブル的である。緑の支柱

であり、その下の箱型の部分に金彩で縁取り。ただし、脚はボール・アンド・クロ

ウではなく怪獣脚。プロジェクトのテーブルとも同型である。

 

他には、同系統のテーブルはないかと探して見つけたのが次の2点。

 

190

193

 

ネット上で見つけた、あるディーラーが持っていた物か。大飯臺の様に見える。天板

のデザインは、状態が悪く、風景画か花鳥画かはっきりしない。支柱はヘット・ロー

宮殿普通テーブルの物に近似。ただし、脚は上のテーブルと同系怪獣脚である。

 

もう一点は、1999年にオークション大手のサザビーズで落札された物。

 

 

Lot-no-317a

 

高さを除けば、限りなくヘット・ロー宮殿普通テーブルに酷似している。カタログ

では、ビクトリア時代の物で黒檀仕上げとなっている。まだまだ、この手の出島経

由の輸出漆器が認識されていない頃。色はわからないが、同類の風景画に鳳凰の天

板のデザインから見て、同じ工房、同じ時期に作られたものとみて間違いない。

 

デザインに関して、財団法人三井文庫が所蔵している弘化2年の「青貝屋武右衛門

殿取替銀相談之覚 唐物方乍恐奉願上候工場口上之覚」に、脇荷物掛りのビツケル

が好んだデザイン(山水模様)が、新しく来たデルブラツトに花鳥草花に替えなきゃ

買わないと駄々をこねられ、泣く泣くやり直した、という記述がある。

 

弘化2年は1846年。この時を境に、天板のデザインが風景画から花鳥画に変わった

という事は十分にありうる。それと同様、支柱のデザイン、脚のデザインがクロス

オーバーしている。

 

そう考えると、このプロジェクトの大飯臺、1840年代の後半から50年代にかけて

作られたのではないかと推察される。

 

興味深いのは、色が塗られているように見える部分。色漆が使われているのか、もし

くは、この頃に使われていた乾性の桐油やえごま油に顔料を混ぜた物か。また、ヘッ

ト・ロー宮殿の大テーブルの様に、蝋色漆で塗られていた上から、ヨーロッパで塗装

が施されたという可能性も排除できない。

 

その3に続く

 

 

 

 

 

 

 

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