Then Japanese Export Lacquer Centre Table
日本製輸出向け漆塗りセンター・テーブル、その後
前回のブログで描いたテーブル。
写真故に、100%日本製とは言えないものの、こんなレアな物直に
見れるチャンス、そうはないという事で、イギリスのかなり北の方
で行われたオークションなのだが、朝から車走らせ、参加すること
にした。
未だコロナ禍。ほとんどの人は、オンラインでの参加。便利な時代
になったものである。コンピューターの前で、世界中の多くのオー
クションにビット出来る。
お目当てのテーブル。
オークション自体は、残念ながら、さすがにそんな金額を自腹で払
えぬ、と負けてしまった。落とした人は、オンライン参加で海外か
らだそう。その手の輸出漆器の需要のあるオランダか、もしかした
ら日本からなんて思いつつ現場を後にした。
会場では、結構じっくりテーブルは見ることが出来た。
天板の青貝細工は素晴らしい。間違いなく日本製。
インペイ・ヨルグ氏の「Japanese Export Lacquer」のオランダ・
ヘット・ロー宮殿博物館のテーブルとよく似ている。
特に、天板外側の蒔絵部分。松がデザインされているのだが、この
部分はまったく同じだと思われる。
脚は若干の違いが見られる。
下のプラットフォームの形こそ同じだが、支柱の部分のデザイン
はむしろ同博物館所蔵の3本脚のテーブルに似ている。
脚先のデザインは、ボール・アンド・クロウだったのに対し、
怪獣脚になってしまっている。ここまで露骨なのは、西洋デザイン
ではあまり存在しないので、日本の職人独自の解釈か?
実は、幕板部に引き出しが一つついている。何故かなと思いつつ、
引き出しを取り出し、中を覗くと、
天板部の真ん中に穴が開いていて、脚の支柱の上の部分を差し込
み、楔で固定するようになっている。清製の輸出漆器の家具なん
かもそうだが、船で運ぶ性質上、簡単にばらせる仕様になってい
る。脚のプラットフォーム部の下もそうで、支柱の下側も同じよ
うに、プラットフォームの下側に突き抜け、楔で固定してある。
つまりこのテーブル、簡単に3分解にする事が出来るという事。
錺金具は、お約束の銅製に銀張り。
このテーブル、イギリスからは出て行ってしまう。個人のコレクターに
落とされたか。はたまたディーラーか。経済的な価値は決して高くは、
ないが、文化的な価値としてはかなり高い物である。日本の洋家具製作
の初期の作品は例が少ないだけに学術的にはかなり貴重ではないだろ
うか。
是非、また巡り合えることを願うばかりである。