象牙よ、何処へ その2
象牙よ、何処へ その2
Ivory, where are you going? Part2
4年前の春に、「象牙よ、何処へ」というブログを書いた。
この4年間に、様々な変化があった。
英国は、正式にEUを離脱。
オークション会社は、工芸品に使われている小さな象牙にまで気を配り、
イギリス皇室の王子は、王室のコレクションに含まれる象牙を使った物は
全て破棄すべきだと言い出す始末。
工芸品の売買では、英国はたえず市場を先導してきたが、EU離脱以降少し
づつその地位を失いつつある。その金蔓だった産業にさらに追い打ちをかけ
る様な法令はと伸ばし伸ばしになっていった象牙法2018がついに、この6月
から正式に施行される。
例外に関して、以前の案から、やや追加が見られる。
*1947年以前の物で、象牙の占める割合が10%以下の物
*1975年以前の楽器で、象牙の占める割合が20%以下の物
*1918年以前のミニチュア・ポートレートで表面上の象牙が320㎝²以下の物
*きちっと登録された博物館、美術館へのローンや売却契約
*1918年以前の物で、特別に美術的、文化的、歴史的価値が高い物
上の2つは、元の案とほぼ変わらず。
ミニチュア・ポートレートはもう少し詳細が付加され、教育的観点から美術館等
の公的機関へ売却、貸し出しは認められている。
5つ目に関しては、かなりのグレー・ゾーンを含む項目。登録費20ポンド、
査定費230ポンド、計250ポンドで、本当に価値があれば売買が可能になる。査定
するのはロンドンのビクトリア・アンド・アルバート博物館を含む全国の博物館
からの専門家によるもの。
修復に関して言えば、1975年以降に他の象牙を使った修復があるかというのが鍵に
なるようで、状況によっては過去の修復のやり直しなんてことになりそうだ。しかし、
ちゃんと直してあるとどこが修復跡かわからなかったりするし、頭が痛い問題が起こ
りそうである。
この法を破ると、5年の懲役もしくは最大4千万円越えの罰金だそうで、修復家にとっ
ても、あながちこの法令は無視出来ない物になりそうだ。
しかし、この法令で象牙の密猟が防げるのか、というのは甚だ疑問に思うのだが、、、。