家具材

2009/09/08

Plumb Dolly

プラム・ドリー

Blog2

近くのジャンク・ショップで見つけたこれ。ハーシーズのキスチョコ
を彷彿とさせる不思議な形。乾燥して白っちゃけてて、ペイント
まで付いていてテーブルの上にぽつんと乗っていた。何となく
気になり女主人に聞いてみるが、「わからないわ。」という答え。
手に持ってみると、ずっしりとした木の質感。意外に大きく直径は
8cm、高さは11cmほど。手にしっくりおさまるなんだか不思議な
物体。

同僚に聞いてみると、「プラム・ドリー」と言う、昔の鉛のパイプを
接続するときに使うものだと言う。

イギリスで配管工のことをプラマー(Plumber)と呼ぶ。プラムは
元々鉛の意味で、その昔、配管が鉛のパイプだった頃に、鉛
を扱う人の意味でプラマーと呼ばれていた。1930年頃までは
家周りの全てのパイプは鉛製だったらしい。もちろんそれが、
鉄に代わり、銅になり、それが今ではプラスティックになって
いくが、、、、。

ドリーは道具の言葉の意として使うとき、当て盤という意味にな
る。当て盤とは物を叩く時の下に敷くもの。金属などの床に
置いて使うものはアンヴィル(金床、Anvil)と呼び、ドリーは
手に持って使うポータブルなものを指す(らしい??)。

素材は水にも沈む、数少ない木材「リグナムヴァイタ」。
(Lignum Vitae 英語では表記通りリグナム・ヴィータエと発音)
東南アジアや中央、南アメリカが原産の木で成長が遅く、あまり
大きくならない。その重厚で狂いにくい性質からプロペラの軸
などに使用される。家具史上ではキャスターのタイヤや彫刻用
の鑿を叩く木トン(Mallet)の頭などで見られる。稀にベニアとして
家具の装飾として使われるが、非常に稀である。

歴史的に考察すると、おそらくこれは、英国領土だった中米から
来たものなのかと予想される。私見では東南アジア産の物のほう
が色がより濃く、中南米産のほうが薄い色に見える。ローズウッド
(紫檀)のような違いがあるようだ。今ではこのリグナムヴァイタ、
ワシントン条約で絶滅の危機の可能性のある種としてリストに
挙がっている。

Blog11

少し小さめの物。

左がツゲ(Boxwood)製、右がリグナムヴァイタ製。

2009/02/03

手強い奴ら

Tough Guys

一日鉋をかけていた。

30分毎に刃を研がねばならない。

7インチx5インチx1インチに上側だけ面取りを施した台。
ただ、相手がそんじょそこらの材ではない。

Blog4_2

左奥に見えるのがパープルハート(Perpleheart)、手前に
インドネシア産のエボニー(黒檀)、マカサーエボニー
(Macassar Ebony)にウェンジ(Wenge)。

どれもこれも、普段鉋をかける類の材でない。台座として作って
いるので暗い色の重い材が選ばれたようだ。ただサイズ的に
マカサーエボニーは、ある程度以上手に入る事が出来なかった
のでインドネシア産での代用となった。パッと見ウォルナットの
ような目。鉋をかけるとローズウッドの様。さらに木目の向きが
一定方向でないので、注意しないで鉋かけると目を起こしてしまう。

Blog2

一番大きいNo.5 1/2のかんなで大体の荒削り。しかも、木目に
対して直角にかけていく。それに手前のローアングルの
ブロック・プレーン(Block Plane)、キャビネット・スクレーパーで
仕上げる。小口はハイアングル、ローアングルの
ブロック・プレーンがものをいう。この手の南洋材には、いまいち
日本の鉋は向いていない。日本の鉋でもローアングルの物を
カタログで見たことがあるが、持ってはいないので西洋の物を
使う事になる。

使い勝手は悪くない。刃の調整もダイヤル式で簡潔である。ただ
ひとつの難点は刃は著しく軟い。それ故に30分に一度は研ぐ
羽目になってしまう。Dickと言うドイツの工具屋さんで日本の鉋
の刃のような二種類の鉄を合わせたローアングル用の刃が
購入できるがまだ試したことはない。

一日鉋かけ終わると本当にグッタリしてしまう。

まあ良い運動であるが、、、、、。

2009/01/26

Oh!! Mahogany Mahogany

嗚呼、マホガニー マホガニー

さて、前回のちょっと続きっぽく始まるのだが、最後の写真で
載せた「100 RARE & EXOTIC Natural Woods VENEERS」の箱。
後日ゆっくり、中を見てみた。

簡単なリーフレットが入っていて、番号を振ったベニアの
説明書きが書いてあるのだが、マホガニーと名の付く木材が
なんと多くあることか。そういうのは大概西洋人が付けた名前
なのだと思うが、、、、。

アフリカン・マホガニー(African Mahogany)、ホンジュラス・
マホガニー(Honduras Mahogany)、インディアン・マホガニー
(Indian Mahogany)、チェリー・マホガニー(Cherry Mahogany)に
ホワイト・マホガニー(White Mahogany)なんてのもある。

加えて、パッと見、マホガニーと言ってもいいような、マコーレ
(Makore)やサペレ(Sapele)なんて木もあって、一言に全部
ひっくるめてマホガニーと呼んで一つの棚に入れているが、
良く見るといろんなのがごちゃごちゃになっているのに気付く。

しかし、この中には18世紀にウォルナットの時代からマホガニー
の時代に変わった時の主役、ジャマイカ産のマホガニーは登場
しない。そもそも、何かを輸入する為の梱包の木箱に使われて
いたのが英国に輸入されたマホガニーの最初、と言う様な話が
あるように現地ではその辺に生えているような木だったらしい。
それが乱伐により減少、1946年以降は輸出を完全にストップして
しまっているのは悲しい話である。

モデラーとして有名な宮本茂紀氏編纂の
「原色インテリア木材ブック」と言う本がある。この中で中南米で
採れるホンジュラス・マホガニーが最も良質とされる、とある。
比重は0.55でかなり軽い。しかし、これは、マホガニーマホガニー
としてヨーロッパ中で重宝された、あのマホガニーではない。
詰まる所、本当のマホガニーと言うのは現代ではもう入手する
ことが出来ない希少な材に他ならない。

「Les bois d'ebenisterie dans le mobilier francais(フランス高級
家具で使われた木材とでも訳すのでしょうか)」と言う本の中で
キューバ産マホガニーの比重は0.73から0.76と、比重0.8前後の
ローズウッドにほぼ匹敵すると明記されている。それ故に、
しっかりしたキューバ産のマホガニーで作られた椅子等はかなり
重く感じるはずである。

それ故に、レストアラーは部材として多くのストックを抱える羽目
になるのである。しかし、抱え過ぎても探す手間が増えたり、
場所の問題が出てくるのだが、しかしそれでも捨てられないん
だろうなあと思ってしまう。


2008/10/11

Ivory 再び

象牙 再び

また象牙の話。

日本でも古くは、正倉院の御物にも使われている。その昔は、
中国にも象がいたようだが、その頃には主に東南アジアからの
輸入物と思われる。

一般に、広く工芸に使われ始めるのは江戸の時代に入ってから。
磨けが光沢も良し、硬く、しかし、粘りがある素材なので小さい
細工にもってこいの象牙は、印籠や根付などに多く使われた。

しかし、明治の時代に入ってから、極度の生活の様式の西洋化
が進み、着物より洋服、草履より靴ということで、多くの職人達は
仕事を換えざるを得なくなってしまう。根付などの彫師もその一人。

政府の外貨獲得の為の輸出工芸品の製作へと技術を転換させる。
東京象牙彫師協同組合(英語のTokyo Ivory Sculptors'
>Associationを直訳した物)も国の主導により作られた一つで
数多くの物が彫られ、輸出されたようだ。(海外では東京派
(Tokyo School)と言う呼ばれ方をする。)

Ivory

高さ約30cmほどの象牙の像。俗に"Okimono"置物と呼ばれるこの
スタイルの象牙の彫刻、こちらのオークションでも良く目にする事が
出来る。象牙の一刀彫り(と呼ぶのか?)による着物を着た芸者さん
の彫刻。髪の毛の表し方、着物の襞、帯の意匠といい目を見張る
緻密な彫刻。根付のクオリティーをそのまま引き継いだ工芸品。
しかし、あくまで輸出用で制作されたため、残念ながら日本国内で
はあまりお目にかかる事が出来ない。

手で作業をするものとして、海外で先人の素晴らしい作品に
巡り合えるということは、自分の血を誇れると共に、もっと頑張らな
ければと思わさせるものである。

2008/09/14

Ebony and Ivory 続き

黒檀と象牙、続き

この椅子、構造的な所は、しっかりしていて、直す所はなかったの
だが、後ろ脚から背ずりに続く一番上の象牙製のフィニアル
(Finial ベッドポストやランプポストなどの先端部の装飾、英辞郎
より)、背ずりにある12個のもっと小さなフィニアルのうち2つ、そして
黒檀製のねじりん棒(Barley Twist Turning)の一つが無くなっていた。

Blog_2

上は、その小さなフィニアル。最初は象牙の模造の物で引いて
みたのだが、まんまと粉砕。適度な硬さと柔軟さを持つ、自然界
の物には、やはり敵わないらしい。左の二つが新しい物。直径
は10mmきっていて、本当に気を遣う引き物。

長くこの仕事をしているが、象牙を引くなんて機会は滅多に無い。
黒檀でねじりん棒を作るのも然り。せいぜい12cmほどの小さな
もの、これは引くというよりは、削りだすに近い。もともとは
17世紀後半に流行ったこの意匠。この時代にどのようなジグを
使っていたのかは定かではない、が、基本的には罫書き、鋸で
切れ目をいれ、鑿で削り、やすりで仕上げる。

19世紀以降のリヴァイバルの時には、ねじりん棒の機械が出来
ていたので、かなり大量生産で廉価版の椅子が作られた。大概
はオーク製の真っ黒で、籐編み、もしくは板の座面、彫刻で
こてこての椅子。あまりオリジナルの椅子とは似ても似つかない
が(17世紀のオリジナルは多くはウォルナット製のため虫食い
が多く、あまり残っていない)市場でよく見る椅子。

普段、あまり使わない素材を使った修復は、楽しいとともに、緊張
するものである。失敗すると予備の材がない。一発勝負のドキドキ。
しかし、時間は限られている。そんな仕事をした後は、意外に
ぐったり疲れるものであったりする。


2008/09/10

Ebony and Ivory

黒檀と象牙

確か、80年代に「エボニー・アンド・アイボリー」という曲が
ポール・マッカトニーとスティーヴィー・ワンダーデュエットで
ヒットした記憶がある。歌詞はピアノの鍵盤の白(象牙)と黒
(黒檀)がハーモニーを奏でるように肌の違う人種同士も
仲良くしようという趣旨だったはず。

家具史上で黒檀、象牙が登場するのはかなり昔に遡る。黒檀は
古代エジプトの家具(棺桶)ですでに使用されているし、象牙は
彫刻の素材としては氷河時代から、キリスト教の時代に
なってからもカスケットなどの装飾用に使われている。

17世紀に入ると、海上の航路(特にオランダ東インド会社)を
通じてヨーロッパに黒檀がもたらされるようになる。高価な材の
為であろうか、ほとんどは薄く切ってベニアとしての使用が多い。
また、黒檀の様に目の詰まった材(フルーツ系の樹が多い)を
黒く塗って、黒檀に似せる技法も生まれる。

また象牙は大きな面積が取れない為、ベニヤとして、または
引物の飾りなどで使われるのが主である。

Blog1_2

上の写真は、19世紀後半に作られた、無垢の黒檀製の
アームチェアーに象牙の装飾引物が付けられている。
その時期、イギリスの統治下にあったインド、イギリスから
家具のデザインが持ち込まれ、本国への輸出向けの家具が
地元原産の木を使って作られることになる。黒檀と象牙、この
2つの高価な素材の組み合わせはこんな状況で生み出された
のだろう。

ゴシック・リヴァイバルの影響だろうか、足はねじりん棒
(バリーツイスト)。黒檀は水に入れると沈むほど、重い樹だが
それほど硬いという訳ではない。切ったり削ったりする作業効率
もそれほど悪くなく、それでも、この椅子を作り上げるには
多大なる労力がかかったに違いない。

象牙は、ワシントン条約により輸出することが出来ない。今の
樹脂で出来た象牙代換品は良くは出来ているが、小さな引物
などで使うと強度的に持たず割れてしまうことが多い。直すのに
未だ象牙を使わなければいけないというのは、なにか時代に
逆行するような気がしないでもない、と思ったりする。

2008/07/24

Discolouration

ディスカラレーション

退色と訳すこの言葉、家具材の特徴の1つである。何故、退色
するかと言う詳しいメカニズムは、またの機会に譲るとして、一般
に家具の色は、時間と共に変わるものなのである。

理由は色々考えられる。材自体の色素が紫外線によって変化する
場合や家具材の上に施されている塗膜の劣化や退色、または材
の染色に使われている染料自身が退色する場合もある。それに
よって、家具自体がこけた感じになる。退色や劣化と言う現象は
面白くて一般に薄い色の物は濃くなり、濃い色の物は薄くなる。

パイン材などの薄い色の木は濃い色に変わっていき、マホガニー
などの濃い色の材は薄くなっていく。特に南洋材の類、例えば
高級家具材と称されるローズウッド。切った時は濃い紫色だが、
それを外に出して紫外線に晒して置くと、ものの30分ほどで、色が
退色していくのがわかる。

Blog

上はキングウッドのパーケトリーで装飾されたブックケースの側面
の一部。濃い部分はブロンズの装飾飾りで覆われていた部分で、
他の紫外線に晒されていた部分と較べると色がまだ濃い。

しかし、切ったばかりのキングウッドは濃い紫色、今見えている
ような縞模様はまず見えない。だからせっかくパーケトリーで文様
を作ってもあまり見えないはず。それ故に、これを作った家具職人、
キングウッドが時間と共に退色し、飴色の縞模様に変わっていく
のを知っていて作っていると、どうも思われるのである。
もしかすると、実際作り終わった後、直射日光に晒し、色をわざと
退色させてから、納品したかもしれない。そう考えると、何を持って
オリジナルと呼ぶのか、一言で言えなくなってしまう。

、、、、と、そんな事を仕事中に、ふと思いながら作業をしていた。

2008/07/12

Jamaican Woods

ジャマイカン産材

あのレゲエで有名なジャマイカ。15世紀後半にコロンブスに発見
され、その後17世紀の後半に英国領になり、1962年になって、
独立国となった、というジャマイカと言う国の歴史を考えると、
ジャマイカ製の家具は、イギリス家具のコピー、もしくはデザインを
世襲した物と言う事、が想像出来るだろう。

Blog_wood1_2

Blog_wood2_2

左上の逆三角形のマスから、(右へ)
Breadnut
Wild Uammee(Mammee)
Mahoe(Makoe)
Locust
Green Candlewood
Redwood
Boxwood
Sweet Lemon
White Candlewood
Wild Piment
Cinnamon
Mountain Guava
Maiden
Plum 
Barbados Pride
Beech
Fuste
Cypress
Blackberry
Broadleaf Myrtte
Greenheart
Green Ebony
Rosewood
Wild Juniper
Coffee
Sweet Orange
Genyp(Genyp)
Seville Orange
Wild Cinnamon
Olive Bark
Pickly Pots
Date
Cashaw
Star Apple
Mangala
Shaddock
Lime
Braziletta
Guava
Sea Grape
Black Torch
Mountain Cabbage
Cow Apple
Fiddlewood
Striped Rosewood
Mango
Hog Gum
Rodwood
Yellow Saunders
Barkwood
Lignum Vitae
Spanish Elm Growth of Jamaica
St.
Uaua
Sogwood
Jackfruit
Lemmon
Wild Butter Tree
Lignum Vitae
Butter Tree
Bitter Wood
Grey Saunders

1835年にジャマイカはキングストンで作られたカードテーブルの中
に装飾された材木のサンプル集である。これらの全てが、普通に
使われてたとは思えないが、かなり面白い物が沢山含まれている。
中には木枠に入れられたそれが何の木なのか対比表も付いていて
上の羅列はそれを書き出したものである。

多くのフルーツの木。レモン、シナモン、グァバ、プラム、
ブラックベリー、マンゴ、ナツメヤシ、ジャックフルーツ!! この手は
細い木が多く、目が交互に走っているので加工は難のはず。

若干知った木も多いが、3分の1ぐらいは全くなんだかわからない。
昔の本を引っ張り出して、それが何の木か探すのが楽しそうである。
全てがジャマイカ産とは思えないが、ジャマイカ内で取引されている
材木リストと考えられるかも知れない。

何故か、一番密度が重い木リグナムヴァイタが2つあったりする
のが不思議。

2008/01/26

Furniture Woods 3

ファニチャー・ウッズ その3

今、リージェンシー時代のワーク・テーブルを修復しているのだが、
その天板が、スライド式になっていて、裏返すとチェスのボードに
なっている。8マスX8マスの枠が、マルケトリーで表してある。

明るい木と、暗い木で市松模様風。

下地のマホガニーが割れてしまった為、その上のベニアにも
ひび割れが、そこを新しいベニアで埋める。

問題は、その埋める木が何の木かという事!!

明るい木、見た目薄黄色で恐らく木の地の色は白もしくは
薄い黄色。普通に考えられるのは、ツゲ(Boxwood)が一番
使われ易い。ただし、ストリンギング(Stringing)などでは
良く使われるのだが、材自体が、細く、硬い為、広い面で使う
場合、しっかり寝かせとかないと木が動く可能性が
高かったりする。

シカモア・メープル(Sycamore)、セイヨウヒイラギ(Holly)や
メギ?(Barberry)なども、可能性がある。サテンウッド
(Satinwood)も薄い黄色だが、木目がちょっと違う感じ。少し、
削ってきた感じはやわらかいので、シカモア・メープルにした。

暗い木、暗いといっても薄いこげ茶色、な感じ。
黒檀(Ebony)なんかも使われるのだが、イギリスでは、国産材を
黒檀仕上げ(Ebonised)したものも良く代用で使われて来た。

削った感じでは、薄茶色の木、もの凄くやわらかい。こんな
かんじなのは、大概フルーツ系の木、色がやや茶色のにはりんご
(Apple)か西洋ナシ(Pear)なんてのが考えられる。

結局は、黒檀仕上げには歴史的に良く使われてきた西洋ナシ
を選んだ。

100パーセント合っているかといえば、合ってないだろうが、恐らくは、
修復倫理の許容範囲以内であると信じる。ヒイラギと
シカモア・メープルなんて見ただけではほとんど区別がつかない。
だから、最終的な決断は家具史上でどんな木が使われてきたか
という歴史的な考察によることが多い。

Blog

2008/01/20

Snakewood

スネークウッド(Piratinera guianensis

たまたま、先日、ロンドンの某オークション・ハウスで珍しい物を
見つけた。スネークウッドを使った、チャールズ2世の時代の
チェスト(Chest of Drawers)。

家具の装飾にスネークウッドが使われているのを生で見るのは
これで2度目。これも、17世紀後半のキャビネット
(Cabinet on Stand)上部の引き出しの正面以外の所で使われ
ていたものである。その当時(今でもそうだが)、スネークウッド
は黒檀を含むどんな木よりも単価が高かったという。

南米はブラジルの少し北、今現在のガイアナやスリナム、
フランス領ギアナのあたりで生息する木で、木自体は大きくなる
のだが、材として使えない白太の部分が非常に大きく、
労働の割には取れる材が少ない為割高になる。

15世紀末からのスペイン人、ポルトガル人の南米入植後、
フランス、イギリス、オランダも後を追いかける。当時
ワイルド・コーストと呼ばれていたその辺り、エル=ドラド伝説
もあり多くの国が関心を持っていたようだ。イギリスも16世紀初頭
から入植を試みるが長く続かず、1667年にオランダとの
ニューアムステルダム(現ニューヨーク)との交換で手を引く。
(まあ、その後、イギリスは帰って来てガイアナを我が物にする
のだが、それは後々の事、、、、。)

これが、スネークウッドが17世紀後半の家具にしか見られない
理由の1つである。あとは、作業のし難さ、硬く、不規則な目の為
加工の大変さ、そして高価であった事も影響しているのであろう。

今でも、ナイフの柄や杖として見ること出来る。

下記がスネークウッドをベニヤとして使ったチェスト。

Snakewood

2008/01/16

Furniture Woods 2

ファニチャー・ウッズ~家具で使う木~その2~

長くアンティーク家具のディーリングや修復をしていても、
その家具が、何の木で作られているか、確実に当てるのは
難しい。それこそ、木のサンプルを取り、顕微鏡で観察し
データの写真と見比べ、どの木の目に近いか探していく
というかなり手作業的な事をしないと、絶対にわからない。

しかし、そのものの色だけでなく、家具自体の構造や、デザイン
等のバックグランドの情報も使い、それが何であるか
絞り込んでいく事は可能である。時々、日本の雑誌を見ると
赤ければ何でもマホガニーと呼んでしまっているおまぬけな
のを見かけるが、ヴィクトリア時代後期頃から、淡い廉価な材を
染料の入った塗装を施すことにより、マホガニーのような色の
家具を生産している。それこそ、修復の際、塗装を剥離して
みて、真っ白の家具が顔を出しびっくりなんてことも多くある。

たいてい、どんな状況でも最低、2つぐらいには絞り込める
はずで、そこからさらに絞り込むのは、経験が物を言うの
だろうか。

1960年出版の家具の木に関する名著、F.L.Hinckleyの
「Directory of the HISTORIC CABINET WOODS」には、なんと
118種類の木が掲載されている。中には、今まで聞いたことも
ないような物も多い。さらに、木を呼ぶとき正式な名前の際は
恐らくラテン語名を使うのが一番混乱しない方法だと思う。
しかし、通常取引の際には業者はトレード名を使う、短縮し、
省略し、簡潔にその物がわかればよいので、必然シンプルな
物になる。それ故に、あっちの国の木材市場での呼び名と
こっちの国の木材市場での呼び名が違っていても当然で、
違っていても同じ物だったり、逆に同じ名前で違うものだったり
することもありうる訳である。

やはり、数多くの家具を見るというのが、木を覚える為の一番の
早道だろうと思う。プラス、オークション・ハウスのカタログや
博物館で出している目録や本で知識をバックアップしていく。
お薦めとしては日本の図書では、宮本茂紀氏の「原色インテリア
木材ブック」、海外図書では、前回のに書いた、「Furniture Woods」
Heidrun Zinnkann著、そして上記のヒンクリーの本が一番だろう。

Blog2 Cabinet_woods Photo

2008/01/12

Furniture Woods

ファニチャー・ウッズ~家具で使う木~

古来、家具は基本的に、木で作られてきた。
石や、鋳物、20世紀に入ってからの金属、
合金、プラスティック、アクリル、、、、、、
等の例外はあるが、加工し易い点、強度の点、
手に入り易い点、耐久性の点、どれをとっても、
木と言う素材が一番家具製作に適しているように
思える。

当たり前のことだが、人はそこに生えている木を
切り、乾燥させ、製材し、家具を作る。古くは
エジプトの時代、彼らはアカシアやイチジクの木
を使った。ルネッサンス期の大航海時代を迎えるまで
は、もの凄く小さな範囲での木材の輸入、輸出が
おこなわれていた。

それが、一挙にワールド・ワイドに広がる。
北南アメリカ大陸から大量の様々な木が輸入されだし、
一挙に家具は華やかになる。イギリスを例に上げる
なら、それまでは、オークや楡(エルム)を基調と
した、かなりダークな感じの仕上げ、もちろん木材
の保存の為の仕上げという、意味合いもあるが、
せいぜい茶色という色の範疇から出る物ではなかった
のが一挙にカラフルに、家具に色がつくのである。

一番、最近出版の家具の木関連の本で、Prestel社から
出ている「Furniture Woods」という本を見てみると、
広葉樹25種類、針葉樹5種類が掲載されている。
木の種類は以下である。

広葉樹

Amaranth(アマランス、パープルハート)
Amboina-wood(アンボイナ)
Ash(西洋トネリコ)
Beech(ブナ)
Birch(カバ)
Boxwood(ツゲ)
Cherry(桜)
Chestnut(栗)
Ebony(黒檀)
Elm(楡)
Lemon Tree(レモン・ツリー)
Lime(ライム)
Mahogany(マホガニー)
Maple(楓)
Oak(オーク)
Olive(オリーブ)
Pear(梨)
Plane(プレーン?)
Plum(スモモ)
Poplar(ポプラ)
Rosewood(ローズウッド、紫檀)
Satinwood(サテンウッド)
Teak(チーク)
Walnut(胡桃)
Wenge(ウェンジ)

針葉樹

Fir(樅)
Larch(唐松)
Pine(松)
Spruce(蝦夷松)
Yew(櫟)

さあ、いくつ見たことがありますか??