博物館明治村 その2
The Museum Meiji-Mura Part 2
明治村はユニークな博物館である。
英語でオープン・エアー・ミュージアムと呼ばれるこのタイプの博物館、田舎生活や農業をメインのテーマにしたものから、ある特定の、例えばヴィクトリア期の建物や生活を展示したものまで様々である。
その中でも、和から洋へと変わらざるをえなかった激動の明治期の建物を集めた建物群は他に類を見ない。それ故に、その当時の日本人が、西洋の文化に触れ、模倣し、独自に解釈し吸収した物を、表現する為になした努力の跡が、至る所に散見する。
明治村は400点余りのこの時代の洋家具を収蔵しているという。丁度行っていた開村50周年記念の特別展示「デザインの黎明」でも、多くの家具が展示されていたが、そこにいたカップルの来訪者が、「これなんで出来てるんだろう??」と発した疑問に、確かに普通の人は説明書きが無いとわからないよな、と自身納得してしまった。
国立博物館のカテゴリー分けを見てもわかると思うが、元来日本の工芸の分類分けに家具と言うカテゴリーは存在しない。金工に、武器・武具、陶磁に漆工、染織に小さくその他があるぐらい。逆に、西洋だと、漆工の代わりに家具と言うカテゴリーがあるのが普通である。
それ故にか、行政上文化財と呼ばれる物に家具が指定されることはまずないようである。他の工芸に比べると、それこそ200年に満たない歴史しかない家具であるが故なのだろうか。
21世紀の今現在、椅子に座ったことが無い日本人はほぼいないに違いない。椅子が至る所にあり、安い値段で買うことすら出来る。一般の人が椅子座に移行し始めたのはそれこそ昭和の時代に入ってからの様だが、明治期の試行錯誤の時代を忘れてはいけないような気がする。その時代のものを、きちっと残す努力をしないと、ジクソーパズルの一片を無くした時のように、今後、日本の室内意匠を語る時に完全な絵は描けないのではないだろうか。
是非にでも、明治村には日本の家具修復・保存の実践とその確立の先鞭をつけて欲しいなと思う次第である。
20世紀初頭の日本製の洋家具が無残にも朽ち果てられないように、、、、。